歯科医療の未来を語る懇談会

宇佐美保団連歯科代表と脇本原告団代表とが厚労省を訪問

10月21日に行われた保団連主催の「社会保障費を大幅に増やし、医療・介護の拡充を求める10・21国民集会」。
日比谷音楽堂の熱気を見届けた脇本代表は、保団連宇佐美歯科代表と共に、その足で道を隔てた厚労省に向かいました。
脇本代表は宇佐美保団連代表と事務局と5人で、新人事なった歯科保健課の課長補佐を筆頭に技官3名との会談を持ち大変有意義な時間を過ごしたとの事です。 同時に、「歯科技工の海外委託問題」解決に関して大臣以下に要請文を手渡す事が出来ました。

脇本代表からの詳細な報告をお届けします。

「保団連に同道、海外委託問題で厚労省に要請会談」報告

「トレーサビリティー通知」(10月末めど)は今年度末へずれ込む!

                                           代 表  脇 本 征 男
 「10・21国民集会」冷たい秋雨の中パレードが出発した時刻、午後3時から厚労省一階の会議室で会談を行い、「歯科技工の海外委託問題」で別紙の要請をした。 訪省側は、保団連宇佐美宏歯科代表と事務局、東京歯科保険医協会事務局、私の5名です。
厚労省側は、いずれも歯科技官で、小椋正之歯科保健課課長補佐、和田康志歯科衛生係長、大島克郎歯科保健医療調整官のお三方が応対して頂いた。
  この日の要請は、足立厚労省前政務官が、「10月末くらいをめどに海外技工のトレー サビリティーが確保されるような基準を作成したい」との国会答弁を踏まえて行われた。

 宇佐美歯科代表は、「トレーサビリティー確保の基準作成」だけでは事故の再発防止には役立っても、事故予防にはならないとして、
@「平成17年通知」並びに「平成22年通知」を撤回し、法を守り、海外に歯科技工を委託させず国内で必要な歯科技工物が確保出来るようにすること。
A国内外を問わず、歯科技工物の質と安全性を確保するため、「トレーサビリティーの基準確立」施策だけにとどまらず、海外技工についても国内技工同様、材料基準は薬事法で、製作基準等については歯科技工士法に準じた扱いとすることを要請した。

小椋正之課長補佐は、今日の海外技工問題は、安全性や品質に問題のある歯科技工物が患者の口腔内に装着されかねない問題と認識している。しかし、歯科技工士法を国外に適応できず、海外技工物の輸入規制は困難とも認識している。
海外技工物の質と安全性の担保の万全策ではなく、又、法的規制程でもないが、第一段階としてトレーサビリティー確保の基準作りは必要であると答えた。そのため、関係者との意見交換を数回行っており、歯科医師や歯科技工士対象に国内歯科技工物の流通経路等の調査や関係団体等の意見聴取を行った上で、今年度内に発出すると答えた。

  歯科技工士の脇本です。国内法と言うことは十分承知しておりますし、国外の者を罰して欲しいなどと申し上げているのでもありません。
歯科技工士法は日本国憲法の直接の求めに応じ「わが国の国民の歯科医療を守るために」国の義務の一つとして制定され、爾来歯科医療の一環として国家免許者として寄与、貢献してきたつもりです。
歯科技工士法では「歯科医師と歯科技工士以外の者は業として歯科技工を行ってはならない」との禁止事項があります。釈迦に説法ですが、違反者には刑罰が科せられます。
「物」の概念に囚われた、「安くて、安全で、良い物」なら、ではなく、特定人に対し、歯科技工士が精魂込めて製作するオーダーメードの「技工行為」、それを担保する資格、免許の大切さの原点をご考慮頂きたい。
どなたが委託して技工行為が発生するのかも含め、歯科技工士法が国外適応出来ないという認識ではなく、現行法を遵守し、国民の歯科医療を守るという視点に立って、歯科保健医療行政を行って頂きたい。心からお願いします。

  一つお尋ね致します。 平成17年3月、厚生労働省医政局長通知により『歯科技工所の構造設備基準及び歯科補てつ物等の作成等及び品質管理指針』が発出され、(社)日本歯科技工士会では当時、向こう三年後あたりには法制化されるという触れ込みで、各県技で盛んに普及活動を展開してきたようです。
ある熱心な歯科技工所管理者が、通知内容の通り準備を整え、法制化を今や遅しと待ち望んでいて、日技のしかるべく担当者に電話連絡したところ、「私見ではあるがと前置きがあって、厚生労働省は海外委託裁判係争中のため、多忙を極め、手間取りこの件の法制化が延びているのではないか」と言うことだったようですが、事の真実をお知らせ下さい。

  回答
「お答えになった日技の役員の方はどんな積もりかは分かりませんが、この件は歯科技工の海外委託裁判とは一切関わりはありません。 ただ、近々の日技実態調査での実態が、「法制化」するまで熟していないということです。」
 ということでした。公益社団法人の役員さん、私見ではあっても、よくお考えの上責任あるご発言を賜りたいと存じます。
最後に保団連の宇佐美代表は、今回遅れの理由となった、流通経路等の調査などトレーサビリティー確保基準作りについては、パブリック・コメントや保団連の意見を聴取するよう要請し、小椋補佐は、関係者の意見を聞いて検討すると答えた。
約一時間半に亘る会談の時間が実に短く充実感が溢れる感じでした。「国民集会」への参加の招聘や厚生労働省との会談のチャンスは、まさに保団連あったればこその収穫でした。 宇佐美先生をはじめとして役員の先生方や事務局、並びに全国各県の保険医協会の皆様方に心からの深甚なる敬意と満腔の感謝を申し上げます。
                                                  以上
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